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ジョブ型雇用のメリット・デメリットとは?メンバーシップ型雇用との違いや特徴を紹介

ジョブ型雇用メンバーシップ型雇用

2020.07.20

新型コロナの影響によって、ノマドワークやテレワーク、フレックスタイム制度(時間差出勤)、副業兼業など働き方の多様化は急速に進んでいます。

そして、この時代に適した柔軟な働き方を導入する企業が増える中で注目されている雇用制度のひとつに「ジョブ型雇用」があります。

ジョブ型雇用とは、勤務形態や職務(ジョブ)を限定して企業が定めた成果に基づき処遇する制度を言うのですが、今回は、これまで終身雇用が一般的だった日本でジョブ型雇用が注目されるようになった背景やその特徴、メリット・デメリットを紹介していきます。

これからの時代にマッチした働き方、採用活動のお役に立てれば幸いです。

ジョブ型雇用とは?

ジョブ型雇用とは、労働者に対して勤務形態や職務(ジョブ)を限定し、企業が定めた成果に基づき処遇する制度を言います。

つまり、求人の時点で勤務地や職務内容、給与等が明確に定められているので
求職者は企業が定めた内容に希望・スキルが合っていれば応募するシステムです。

エリア社員や、アソシエイト社員、地域限定社員なども同様にジョブ型雇用になります。

主に欧米諸国で広く普及しているのですが、日本でもコロナ禍を境目に資生堂や富士通、KDDIなど大手企業が導入・拡大を発表しました。

そして日立でも、新型コロナウイルスよる在宅ワークが後押しとなりジョブ型雇用の採用に踏み切ったそうです。

日立がジョブ型雇用の本格採用に踏み切る。
成果主義と親和性が高いジョブ型は欧米などに広く浸透する世界標準だ。グローバルの人材獲得競争に有利に働き、生産性の改善への期待も高まる。

近年、日立は米中企業などと先端人材の争奪戦を繰り広げるが、海外人材には不透明に見えるメンバーシップ型は足かせとなる。
皮肉なことに岩盤を突き崩したのは、コロナだった。在宅勤務ではプロセスへの貢献が見えなくなりチームプレーも難しくなった。従業員の成果を評価する仕組みが必要になり、メンバーシップ型では限界があった。

日本経済新聞:世界標準 在宅が後押し 日立「ジョブ型」雇用へ転換 業務内容定め成果で評価

メンバーシップ型雇用について

ジョブ型雇用の対比として「メンバーシップ型雇用」があります。
メンバーシップ型雇用は、ジョブ型雇用のように職務内容や勤務形態、スキルを定めることなく
会社に最適化された人材を育成していくような、日本企業では一般的な雇用方法を言います。

簡単にまとめると、メンバーシップ型雇用が”先に労働者を採用してから仕事を振り分ける”といった雇用制度だとしたら
ジョブ型雇用は”企業が定めた仕事に対して労働者を割り当てる”といった雇用制度になります。

【おまけ】タスク型雇用について

近年では、ジョブ型雇用の次の雇用形態として『タスク型雇用』が欧米や日本の一部のIT系スタートアップ・ベンチャーで広がりつつあります。
タスク型雇用は、職務よりももっと狭い範囲で、タスク(課題)ごとに雇用する形態の為、ジョブ型雇用よりもスピードと柔軟さを持った体制を作ることができるのです。
プロジェクトやタスクごとに人を集めて、終わると解散という形なので、ハイコストな優秀な人材の手を借りやすいという大きなメリットがある反面、労働者側はほとんど日雇いと同じような状態になる為、生活が不安定になってしまうというデメリットが発生します。
労働者側には不安な面が多い雇用形態な上、高い技術力を持ったハイコストな人材が対象になってしまう為、貧富の差の拡大などの社会不安に発展してしまうかもしれないという社会的なデメリットもあります。
現状の日本企業で浸透するのは少しリスクが高いという印象を受けました。

ジョブ型雇用が広まっている背景とは?

大手企業が先陣を切って導入しはじめているジョブ型雇用ですが、どうして話題になったのでしょうか?その背景を見ていきましょう。

<国際競争力を高めるため>

現在、日本で主流となっている採用方法としてメンバーシップ型雇用があります。しかし、このメンバーシップ型雇用いわゆる「社畜化」がこのまま継続していけば企業も社員もモチベーションや専門性が高まりづらくなってしまいます。
この先そうした終身雇用社員が増加した結果、国際競争力や生産性の低い大企業が増えてしまうという背景があるのです。

企業の国際競争力を高めるには、成果で評価する「ジョブ型雇用」が効果的であると日本企業で注目を浴びているということです。

<人手不足問題>

日本では特に、AI、ロボット、ドローン、エンジニア、マーケティング、データサイエンス等を行う専門職が不足しているというデメリットを抱えています。
これからの時代は業界に問うことなく、技術革新に伴い“専門職のニーズ”が多くの企業で高まってきているのです。

<少子高齢化によるダイバーシティの浸透>

現在、少子高齢化問題が進行している日本において、労働者の確保が急務となっています。
そこで多様な人材を積極的に活用していくダイバーシティつまり「多様性」が浸透するようになりました。

介護・育児をしながら時短勤務や在宅ワーク、副業、定年後の再雇用、日本での労働を希望する外国人労働者など、「職務内容」や「時間」「勤務地」が限定されながらも自身のスキルを発揮させたいという労働希望者からの声を受け入れる時代の趨勢(すうせい)が高まっているのです。

ジョブ型雇用の特徴・メリットとデメリットについて

それでは、ジョブ型雇用の特徴を見ていきましょう。

【職務(仕事内容)】・・・ 勤務地や職務内容が細かく限定されている

【採用方法】・・・中途・通年採用が中心、欠員補充時に募集をおこなう

【求められるスキル】 ・・・その業務に特化したスキル、専門スキル

【報酬制度】・・・ 業務内容やスキルによって決まる

【教育制度】 ・・・原則はなし

労働者はジョブディスクリプション(職務記述書)で雇用契約を結ぶので
ジョブディスクリプションに記載のない内容には従う義務はありません。
例えば職務内容の変更や残業、転勤などです。

また、ジョブ型雇用で働く労働者は職務内容と同様に、給与もその職務によって制定されています。
その為所属している会社でのキャリアアップや昇給はほとんど見込めません。
ただ無理にやりたくない仕事を押し付けられたり、意識に反した転勤などの心配はありません。
数年間ずっと同じ職位に留まる労働者(女性に多い)もいれば、3年以内に転職していく人もいます。

昇進を希望しない労働者には安定したライフワークバランス・収入を求める人が多く
中には30年以上も同じ職場で働く人もいるといいます。

企業目線で見たジョブ型雇用に伴うメリット・デメリットとは?

企業目線で見たジョブ型雇用に伴うメリット・デメリットをまとめていきます。

ジョブ型雇用に伴うメリット(企業目線)

  • 欠員が生じた際に、最適な人材を確保しやすくなる
  • 新鮮な経験や考え方など、新しい風の取り入れとなる

ジョブ型雇用の企業目線でのメリットを紹介しました。
ジョブ型雇用では、業務範囲を限定しているためポジションに合う、専門スキルを持った人材を確保しやすくなります。そのため、企業の進化や変化に合わせてスピーディーに組織を最適化することができ、育成コストの削減にも繋がります。

ジョブ型雇用に伴うデメリット(企業目線)

  • 契約(ジョブディスクリプション(職務記述書))にない仕事を依頼するのは難しい
  • 会社都合で人事異動や転勤などはできない
  • 急に転職されたり引き抜かれる可能性もでてくる

ジョブ型雇用の企業目線でのデメリットを紹介しました。
ジョブディスクリプションに記載のない仕事を依頼することは基本的に難しいので、定時後に急ぎの仕事を頼んでも断られてしまいます。転勤や異動も同じです。
また、労働者は日々自己研鑽を続けているので、スキルが向上し更に優秀な人材へと成長したとき、突然、ベンチャー企業や外資系などの待遇の良い企業に引き抜かれてしまうといった恐れもあります。
そして専門性を求めるが故に、代わりの人材を確保するのも容易なことではなくなってしまいます。

労働者目線で見たジョブ型雇用に伴うメリット・デメリットとは?

労働者目線で見たジョブ型雇用に伴うメリット・デメリットをまとめていきます。

ジョブ型雇用に伴うメリット(労働者目線)

  • 自分の専門分野を最大限に活用できる
  • 専門スキルを磨ける
  • 給料は自分の経験・スキル・能力次第なので、自分の努力次第で給与も上がる
  • 長時間労働になりづらい
  • 自分の業務やゴールが明確なので、生産性を高めやすい

ジョブ型雇用の労働者目線でのメリットを紹介しました。
ジョブ型雇用ではAIやエンジニア、ブロックチェーンなど、自身で選んだ専門分野だけを仕事にできます。自分の力を最大限に発揮することができるので、遣り甲斐は十分に感じられるでしょう。
また、スキルに応じての採用基準である為、学歴や年齢に関係なく厚待遇の企業にも転職することが可能となります。

ジョブ型雇用に伴うデメリット(労働者目線)

  • 分野に特化した経験者が必要であるため新卒者は採用されにくい
  • 「成果主義」なので不安定な雇用になりやすい
  • 職務がなくなれば解雇される場合も多い
  • キャリア設計は自分で行わなければならない

ジョブ型雇用の労働者目線でのデメリットを紹介しました。
データサイエンスやAI、IoTといった専門スキルは日々進化し続けています。
そのためキャリア設計は自身が進んで行う必要があります。
また、会社の都合や景気などで職務が無くなるケースも少なくありません。
ジョブ型雇用の場合、人事異動や職種転換といった選択肢が無いので不安定になりやすく退職リスクに繋がります。

ジョブ型雇用とは?特徴やその背景、メリット・デメリットを紹介のまとめ

今回は、ジョブ型雇用の特徴やその背景、メリット・デメリットを紹介しました。

労働者を雇用する前に、互いにしっかりと“詳しい労働条件”について握り合い納得のうえで仕事を始めることができるジョブ型雇用では、入社後のスキルや待遇などで懸念される「イメージと違った!」となるリスクを企業側、労働者側共に減らすことができる雇用方法です。その分、メリットとデメリットもあります。

日本ではまだまだメンバーシップ型雇用を採用している企業が多く、とても根強いものとなっていますが、
先行きが不透明なこれからの時代は、仕事の成果やスキルの専門性・能力が強く求められるようになるはずです。

従来の雇用方法では通用しなくなる前に企業側も労働者側も、来たる働き方改革に備えて準備をしておきましょう。

評判DBでは質の高い企業の情報を揃え、あなたの転職活動が成功するようこれからもサポートを続けて参ります。

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